ロータス社としてはなんと14年ぶりとなる新型車です。
イギリスの権威ある雑誌AUTOCARの記事の中で2009年度のベストハンドリング選手権No1を獲得した素晴しい車です。
今までのロータスエリーゼ・エキシージと違う所はどこか?
ロータスはこの車で一体何を提案したいのか?
車に乗り込んで一番に思うのは高級感。パーツ一つ一つの質感があがった事でしょう。
ハンドルの両サイドに付いているボタン式のスイッチはデザイン、押した時の質感共に好感もてます。
シフトノブ、サイドブレーキも革が巻いてあり高級感満載になりました。
たまにチリの合ってない部品はありますがそこは小さな会社なのでこだわれない愛嬌の部分としましょう。
キーを捻ってエンジンをかけるとこれがロータス?と言いたくなるほどのスムースなアイドリングを感じて頂けると思います。
このアイドリングの振動は高級車並です。 そして走り出しても静かでスムース。
安っぽい動きは全くありません。
高速での走行ではこんなに軽量シャーシ(1390kg)なのに乗り心地の良さとスピード感の無さに驚きます。
何よりも走りにこだわるロータスだからこそ出来るこの素晴しいハンドリングも特筆もんです。
エリーゼから踏襲しているアルミとアルミを接着剤で接合すると言う新技術で作られた軽量高剛性のシャーシをベースにして、ロータスはまた新しい価値観の車を作ったのです。
今までよりも安心感があり、スポーツカーに必要な止まる、曲がるがカチッと出来て大人2人がゆったり乗れる。ロータスが提案する新しい大人のスポーツカーがエボーラだと思います。
新世代フェラーリ
ハードとソフトが高次元でバランス
先代になる430スクーデリアと比べてもとんでもない進化を遂げたものです。
触れたい技術は沢山ありますが、今回は特に渡しが感銘を受けた電子制御とマグネライド、この二つを取り上げたいと思います。
458で軽く峠をスポーツドライブをすると、コーナー立ち上がりでの安定性が凄く増している事に気付くでしょう。
それは458から採用されたミシュランの専用タイヤのお陰でもありますがそれだけではありません。一番の功労者はEデフですね。
新しい技術を採用する時はいつも若干の不都合が出るものです。430が発表された時、Eデフのロジックは素晴しいと思いました。
しかし、430を走らせているとドライバーの意に反してEデフが効いてしまいアンダーステアが出ることがあり、そう簡単にF1と同じにはならないんだと思いました。ところが、この458はそう言った不自然さが見事に消え、まさしくF1! 良い車のお手本のようなコーナリングマシンです。
それでいて誰がドライブしても安全な車になっています。
コーナー進入時のオーバースピードはどうしようも無いですが、マネッティーノをスポーツにしておけば、アクセルオンで立ち上がり中のスピンはまず出来ません。
そして、もうひとつ。599で初採用になったマグネライドです。
ショックアブソーバの中のフルードを電流で粘性が変わる磁性体フルードに変更し反応スピードを飛躍的にアップさせたものです。
これには599をドライブした時よりもカリフォルニアの時に感動させられました。
大きなバンプを超えても一発で収まります。乗り心地もかなり良い。
ちなみに乗り心地に関して言うならば一番柔らかいスリッピーモードで430のスポーツぐらい。
レース以上のモードのハードの状態でスクーデリアのハードより更に堅い感じ?だと思います。
つまり硬さは変化がはっきりわかるぐらい幅を持たせてあり、街中では少し硬いかな?と思いますが高速道路でクルージングするとなめらかな素晴しい乗り心地です。
素晴しいうわさばかりだと思いますが、私が感じるのも車のバランスの良さと電子制御の秀逸さが相まって他社メーカーを一気に突き放した新世代のフェラーリだと思います。
355F1の良い所はきっと現代スーパースポーツにない車体の小ささとリトラクタブルヘッドライト最終型ともいえるそのデザイン、そして特筆すべきはフェラーリの中でも量産車で1番甲高いフェラーリサウンドではないでしょうか?
車に乗り込むと360モデナに比べて少し狭いのですが落ち着ける感じです。
ハンドルの角度が少し気になるのですがF40もこの角度なのでこの時代の特徴としておきましょう。
セキュリティーのスイッチを押してキーをひねってエンジンをかけます。エンジンは簡単にかかり、少し暖気してレーシングしてみると4000回転ぐらいからはなんとも言えない美しいフェラーリサウンドがします。
ブレーキを踏んでハンドル右側のパドルを引くと後ろの方でガシャンと言う音がしてメーターの真ん中にあるシフトインジケーターがNから1に変ります。
このガシャンが現在のフェラーリには無くなったのですがこの時代はあったんです。そういえば最近こんな作動音を聞かないな〜なんて思いました。
アクセルを少しずつ踏み込むとクラッチが繋がります。
あまりにハンクラが上手に決まったのでこの固体が当たりなのかと思ったらクラッチのオーバーホール済みで新品なんだそうです。
私にとってF355は360チャレンジとの比較をする為に355チャレンジをドライブしたのが一番最初でした。
その時に感じたのは360のパワー。
そして355の扱い易さ。
まずF355のエンジンは現代スポーツカーと比べるとパワーがありません。10年前の車になるのですから当たり前。
と、言いますか最近のスーパースポーツカーはパワーありすぎです。試乗する時どこのメーカーさんも「トラクションコントロールは切らないでください。」と言われます。
私はそんな事言われると余計に切って乗るのですが(ひねくれ物です)しかし事実殆んどのユーザーさんに500馬力からのパワーはコントロールできません。
では今からドライビングの練習をしたい方には何を勧めるか?この車両は結構お勧めの1台です。
程よいパワーと程よいダルさがあり車のコントロールを楽しく憶える入門用には抜群です。
この個体は355F1、つまりF1マチック(オートマ)です。量産車で考えると世界で一番最初にシングルクラッチをコンピューターでオンオフするF1マチックが採用されたのがこの355F1です。
と、言ってもまだシフトダウン時にブリッピング(アクセルをあおる)なんて気が利いたことはしてくれません。
なのでスムーズに走らせるにはドライバーが補ってドライブするコツが必要になりますし、操作がうまく決まると本当に気持ち良い。
この個体はクラッチをはじめ各部をオーバーホールしたてと言うのがあり操作感が良く、フェラーリサウンドが心に響きいつにもましてお勧めの1台でした。
フェラーリ第2弾は360モデナF1の2000年式です。
私自身久しぶりに360を味わいながらドライブさせて頂きました。
フェラーリ360と言えば私の中では日本でのテストドライバー兼インストラクターをさせて頂いたチャレンジカーを思い出します。
当時日本中のサーキットに先行テストをして廻ったのですがその理由の一番はF1マチックをレーシングカーに初めて導入した車だったからです。
日本のサーキットは海外のサーキットの路面に比べて異常にグリップします。
F1マチックがレース中に問題なく作動するのか?想定できるいろいろなテストをしましたが心配とは裏腹に結果は全く問題ありませんでした。
360モデナもそのレーシングカーであるチャレンジもエンジンもミッションも基本構成は同じです。
こんなに完成度が高いなんて!と驚いたのを覚えています。
8気筒フェラーリの歴史の中で大きくモデルチェンジしたのが355から360です。
特にシャシーで355まではプレス成形したパネルを溶接して作ったスチール製シャシーからアルミの押し出し材で作られたアルミ製スペースフレームとなりました。
それにより車体容積が10%拡大したにも関わらず28%の軽量化に成功しているのです。
つまり、室内の居住性が上がって荷物が乗るスペースも確保できたにも関わらず総重量は軽くなったのです。
スポーツカーとしては完全な正常進化です。
スペックの説明はたくさんできるのですがそれはまた触れるとしてこの個体のインプレッションをしましょう。
ドライバーシートに乗り込みます。
355と360はただキーを差し込み回すだけではエンジンが掛かりません。
キーについているリモコンキーでセキュリティーを解除します。それからキーをひねります。
すると意外に静かにそして普通にエンジンが掛かります。360の操作には難しいところは全くありません。
しかし、街の中では注目度抜群です。意外とハンドルも小回り効きますし、F1マチックのパドル操作も直感的にできる様になっていて初めての人でもすぐゲーム感覚で走らせる事ができます。
それこそ誰でも本物のF1を操っている感じになると思います。
何よりもこの車両がフェラーリだと感じさせてくれるのはアクセルを全開にしてみた時です。
パワー的には現代のスポーツカーの中にあっては少なめですがそこは1350キロという絶対的な軽さが味方についてくれます。
それは気持ち良い加速をしてくれます。
あっという間にん〜キロです。
私は400馬力をちょうど良いパワーだと思います。
速いと感じるけど危険ではないパワーです。
500馬力近くになるとトラクションコントロールはできるだけ外さずに走ってくださいと言ってしまいます。
今回も試乗していてそう思いました。
ちなみにこの個体についているタイヤですが下ろしたてでもう少し走ればもっといい感じになるだろうなと思いながら試乗を終わりにしました。
一番上の写真を見ていただければわかると思いますがこのフェラーリ360F1の良い所はこの均整の取れたスタイリング!
私はしばらく見とれてました。
皆さんもぜひ見とれてくださいね.
今回はF430です。
この車は360の後継として04年のパリサロンでデビューしました。
その半年後オープンモデルのスパイダーがデビューになり、更に2年半後にライトウェイトスポーツモデルのスクーデリアが発表になりました。
公道走行が出来るF430シリーズのラインナップは以上の3種類ですが、どれも完成度の高さから大人気で新車の購入は2年待ちが当たり前でした。
旧モデルである355や360とF430がどれぐらい違うのか?と良く聞かれます。
フェラーリは絶えずF1で培った最新技術を生産車に導入しているので新しいモデルが最良といえます。しかし、どのモデルにもしっかりしたテイストがありますから355、360も十分にドライビングを楽しめる素晴しい車です。
F430がどういう車かは、あらゆる雑誌でいい評価を得ているので周知の事実です。
今回はこの個体に関する評価を中心に説明を進めて行きたいと思います。
この車の登録は2006年です。
凄いのは走る為のメーカーオプション満載でカーボンブレーキ、ロールバー、スポーツシートが装着されています。
エクステリアに目を移すと色は濃いブルーが美しいブルーツールドフランス、ボディーは美しさを保つ為にコーティングしてあります。更にフロント周りは飛び石防止用のフィルムが貼ってありますのでボディーの傷等は殆どありません。もちろん保管は屋根つきの車庫だったそうなので、本当にぴかぴかです。
インテリアはと言いますとこれまた程度は極上です。
街の中をドライブしてみましょう。フェラーリV8はF430から特に大きな変化を遂げています。それまでのV8シリーズはある意味レーシングカーのようでした。その為に何かしら乗り込む時は身構えなければならなかったのですが、F430からはレーシングカーの部分は依然にも増して持っています。しかし、それプラスで何も知らない免許取立ての女性でも気楽に乗れたりする。車としての抱擁力が格段にアップしたのです。
いろいろな要素がありますが、まずエンジンです。エンジンはアクセルに乗った微妙な足の動きを敏感に意のままに車に伝えます。
エンジンのハード的な良さだけでなく、ソフト的な要素もバランスを考えてよく作られている事を再認識できます。発進時のクラッチの繋ぎ方にもそれまでのF1 マチックに乗られて知っている方ならびっくりされるはずです。発進も変速も驚くほど上手にスムーズにクラッチを繋いでくれます。
「あれはフェラーリだから運転に慣れがいるんだよ。」なんてところはどこにもない。ギヤチェンジだってそうです。コンピューターが勝手に変速するオートマモードでドライブしても違和感はありません。至ってスムーズです。
でもやはり楽しいのは、ハンドルについているパドルでシフトチェンジする事です。街中をゆっくりドライブしていても車と対話できます。
ハンドルについているマネッティーノに関してもこのF430からの新技術です。
本物のF1は、いろいろな部品をばらばらで調整したい為に、たくさんのスイッチが付いてます。しかし、F430は競争する為の車ではないので、ひとつのダイヤルスイッチでいっぺんにエンジン、ミッション、サスペンションを統合してドライバーの望む状況にコンピューターが調整してくれるのです。ちなみに街中ではスリッピーモードが最適です。
サスペンションは柔らかくなり、路面からの突き上げ等もなく同乗者も快適です。私は高速道路でも路面の良いまっすぐな所ではスリッピーモードを選びます。ちょっと危険かな?と思えるスピード域でコーナリングさせる時はレースモードにいれる事がありますが一般道ではスリッピーモードで十分です。街乗りの話でも言いたい事はたくさんあります。高速域の事だともっともっとあるんです。でもページが足りない・・・
まとめると高速道路での路面への吸い付き感、ハンドルを切った時の前後のロールバランス、かっこいいだけでなくバランスも素晴しいです。しかも走り屋オーナーさんにもちゃんと対応できるカーボンブレーキとロールバーが入ってます。これは是非サーキット走行したい人にお勧めです。
是非、この最新のフェラーリを実感して頂きたい。
とにかく、街乗りからサーキットまで、すごいパフォーマンスを持つ「間違いない一台」でした。
グラントゥーリズモS(GTS)が発売されると聞いた時にマセラティは一体どんな車をつくってくるのか?
グラントゥーリズモ(GT)の素晴しい完成度を考えるとそれ以上の車が造れるのか?
マセラティに対して大きな期待と小さな不安を持ちながら待っていました。
今、試乗を終えて思った以上の出来栄えに本当に驚かされました。
どちらを選ぶ?と言われるとどちらも捨てがたい。
ベースは同じ2台ですが両方とも全く違うキャラクターあてがわれている。そして完成度は両方共ハイレベルです。
外見上も結構違う2台ですが中身はもっと違うのです。
まずエンジン的には500cc(35馬力)違うエンジンです。
しかし、何より音が全く違います。GTは女性的なおしとやかな美しさがあるイメージですがGTS(スポーツモード)は音量的にも音質的にもフェラーリ並み或いは好みによってはフェラーリ以上と思える官能的でワクワクするようなエキゾーストサウンドです。
そして599と同じと言われるうわさのトランスアクスルMCシフトがまた上出来です。今まではフェラーリとマセラティではシフトスピードやシフトマナーの点で大きな差があったのですがこのGTSはフェラーリとの差を感じられません。
フルオートのモードもあるのですがあまりの楽しさについついマニュアルモードでドライブを楽しんでしまいます。
更に秀逸なのはサスペンションセッティングです。確かにフェラーリと比べるともちろん車重が重い分不利です。しかし、走りにおける満足度は十分同レベルです。
車名通りにGTとして考えるなら車重がある分安定感があり、高速道路におけるハイスピードのロングドライブ等には最適でしょう。
GTSはバランスの良いGTから更にバランスの煮ツメが行われています。
GTのスポーツモードより少し硬いのがGTSのノーマルモードだと思います。
また、ノーマルモードでは排気バルブが閉まりエキゾーストサウンドもかなり静かになりますので家の近くでは静かに、家を離れたら音を楽しむ。
そんな事が純正装着のマフラーにも関わらず出来ています。
ノーマルモードとスポーツモード、ラグジュアリーとアグレッシブ、スイッチ一つで大きく豹変するキャラクターがドライバーにまで気持ちのONとOFFをさせてくれる。
1台で仕事と遊びの両方使える素晴しくおしゃれで楽しい車でした。
ついにマセラティの2ドア現行モデルの登場です。
名前もグラントゥーリズモ。
英語読みではなくイタリア語読みの方が優雅ですよね。
デザインはフェラーリと同じくピニンファリーナとなり顔は今っぽくいかつくなったものの全体のラインは伸びやかで優雅に変身しました。
しかし、このグラントゥーリズモに試乗して声を大にして言いたいのはマセラティのエンジニアはどうやってこんなに豹変させたの?と言う事!
プラットフォームやエンジンは基本的に現行クアトロポルテと同じです。でも乗り味は全く違う。
GTとして素晴しく完成度が高い。
20インチなのにすべるようにドライブできる。
前後ともダブルウィッシュボーンなのに静かで乗り心地が良い。
大人4人が乗れるのに大きさを感じさせない。
オートマなのにパドルシフトで操作出来、シフトダウンすればブリッピングもしてくれておまけに排気音が素晴しいからシフトチェンジが楽しい。
とにかく飛びぬけた高速安定性、心地よいエンジン音を伴って且つ静かな室内、こんなに低速域から高速域までバランスの取れたマセラティがあっただろうか?
いや、他のメーカーを含めてもそんな車はこの世に数えるほどしかない。
マセラティはエンスーの車と言うイメージがありますがグラントゥーリズモは誰がドライブしても満足度が高くマセラティのイメージを刷新する車に大きく様変わりしました。
とにかく感動する事が満載です。
書ききれません。
軽快で高速道路でもワインディングでも楽しめる
グランドツアラー
ジウジアーロデザインの兄弟車と言ってもいい3200GT、クーペ、グランスポーツ。ジウジアーロデザイン最後の完成された2ドアクーペがマセラティ・グランスポーツです。
クーペとの違いを言いますとエクステリアはフロントバンパー、リヤバンパー、サイドスカート等が新設計になりエアロダイナミクスも改良されました。
フロントとリヤバンパーのグリル部分もメッキを施されてかなりスタイリッシュに変身しています。
ホイールサイズも18インチから19インチへ変更されました。
インテリアもレザーとカーボン、そしてブライトテックスと言う新素材でまとめられています。
今回の試乗車の色は吸い込まれそうな深みがあり、明るい絶妙なブルーそれがこの車のブルーメディオテラネオと言う色です。写真でもわかる様に光の当たり方によって素晴しい発色をします。
エンジンを掛けるにはドライバーズシートに着いてキーシリンダーを回しオンにします。
次に右下のセンターコンソールにある青いスターターボタンを押せば美しい音が始まります。そして、是非青いボタンの下に配置してあるSPORTボタンを押してください。
素晴しいエンジンサウンドが聞こえてきます。
まさにフェラーリ社で製造されたエンジンのサウンド。そしてパワー。フロントエンジンですから振り回しても扱いやすいのでMSPオフのモードも楽しみやすいと思います。
ドライブしてみるとスポーツカーらしさが湧き出る感じでついついアクセルを踏み込んで楽しみたくなります。
加速のフィーリングも良いのですが減速は更に気持ち良くてブレーキングをしながらのカンビオコルサのパドル操作ではパンパンと言う歯切れの良いその音に自ら酔いしれる感じです。
街中ではノーマルモードで静かにのんびり、ちょっと山間部に行けばバイクのツーリングの様に楽しくリズミカルにドライブ。
仕事にも息抜きにも使えるそんなマセラティでした。
今回の試乗は、マセラティがフェラーリ傘下になって2年後、フェラーリによる改良を加えて大きくマイナーチェンジした1999年式後期型クアトロポルテです。
この車の良い所はその大きさとデザインです。最近の高級車は大きくて戦闘的なデザインだから好きでないと言う方にはぴったりです。大きさは全長4.5メートル。現行のクアトロポルテは全長5メートルを超え、多くの競合車が5メートルオーバーです!最近のプレステージカーって大きいですよね。
そしてデザイナーはあのガンディーニです。ガンディーニはカウンタック(リヤアーチがそっくり)やランチャストラトス等を手がけた有名なデザイナーです。
マセラティがデ・トマソ傘下だった時代の後期の車両は殆ど彼の作品で、この車両は4代目クアトロポルテ(現行は5代目)またはガンディーニ・クアトロポルテと言われています。優雅さの演出の仕方がピニンファリーナやジウジアーロと違うんですよね。大きな主張をせず、さりげなく高級感を醸し出す。それがガンディーニ・クアトロポルテだと思います。
実は私、この時代のクアトロポルテには縁が無く、乗った事がある車の殆どが何か壊れている。ところがこの個体は新車当時を教えてくれました。V8・3.2リッターDOHC32バルブインタークーラー付きツインターボでパワーは326馬力と当時では最先端の技術を満載したエンジンは車内のスイッチでノーマルとパワーのモードが選べます。
パワーにするとターボパワー炸裂と言わんばかりの「こんな加速できるんだ!」と誰もがびっくりする加速を体験できます。3200GTに近いフィーリングです。
しかもスピード感がない!高速域での乗り心地の良さも抜群です。実は素晴らしい大人の4ドアセダンだったんだ〜と感動しました。
でもこのガンディーニ・クアトロポルテでこんな程度の良い個体を探すのは困難なはずです。
めぐりあえただけでも私はちょっと幸せな気がする。マセラティとフェラーリの合作。理解できる試乗でした。
今回の試乗車はマセラティ3200GT。なんと珍しい6速マニュアルミッションです。
マセラティ量産車の分類は大きく分けると2ドアと4ドアがあり、このモデルは先代の2ドアモデルです。この時代はマセラティ社にとって大きな改革時でフェラーリ傘下に入って最初の車となります。
3200GTは2001年まで生産されていますからこの車両は最後の年の車です。
きっと信頼性は高いと思われます。内装・外装共にブルーで統一されていて年式のわりにきれいです。私個人的に言うと3200GTはブーメランと言われるテールランプが結構好きで憧れの車の1台でした。
わくわくするようなターボ車は少ないんですよね。
ちなみに3200GTと後に発売されるクーペは外見上殆ど同じで、外見上の違いはテールライトとボンネット上のエアスクープぐらいだと思います。
しかし、中身は大きく違います。まずエンジン、最後の自社製エンジンとなるV8ツインターボです!味付けが楽しい!トルクが1500RPMぐらいから盛り上がってくるので常時どこの回転からアクセルを踏んでも加速してくれますし、加給圧が上がってくる時の危険な程の加速感は自然吸気のエンジンでは絶対味わえない楽しさがあります。
マニュアルミッションも秀逸でストロークが少ない上にギヤが入る感触はカチッカチッとしっかりしたものでレーシングカーの様でした。ギヤチェンジするだけで楽しい。
ここら辺はフェラーリより古くからレーシングカーを造っていた会社らしい所です。
ワインディングを走らせた時に身のこなしが軽い!と思ったら現行のクーペ(カンビオコルサ)より100キロも車重が軽いんですね。
その車重とエンジン特性が相まってスポーツ走行性はかなりレベル高い車でした。にも関わらずインテリアや走りにラグジュアリー性もしっかりあってしかも大人がゆったり乗れる4人乗り。いろいろな用途に使える素晴しく味のある車だとびっくりさせられた試乗でした。
マセラティのフラッグシップであり、イタリアンフラッグシップでもある。フェラーリのエンジンを搭載した4ドアラグジュアリースポーツセダンでデザインもフェラーリと同じピニンファリーナとなった。
クアトロポルテとはイタリア語で4枚ドアを意味します。マセラティクアトロポルテとしては1963年に初代が発売されて以来、現行で5代目になります。歴代クアトロポルテはマセラティ社のさまざまな事情からデザイナーが全て違います。
現行の5代目はマセラティがフェラーリ傘下の会社であった為にデザイナーはピニンファリーナとなっています。デザインだけでなく技術的にもフェラーリとの協力という特別な環境で出来上がった車です。
独特な存在感のあるエクステリアのイメージは粋、まさしくイタリアン。
同じクラスの車と言うとメルセデスのSクラス、BMWの7シリーズ、アウディの8シリーズ等になります。プレステージ・サルーンクラスにイタリア車としては唯一の存在となります。
その中でクアトロポルテはどんなキャラクターか?エクステリアのデザインもイタリアらしい個性があります。インテリアもウッドと皮を品良くデザインに取り入れた粋な車です。しかし何よりも、ドライブするとこの車の個性がはっきりわかります。
このクラスの車は如何に静かに如何に車に乗っている事を気づかない様にするか?と言うコンセプトです。そう言ったクラスの中にあってクアトロポルテは異色です。のんびりドライブするとわずかにですが美しい音色のエキゾーストノートが聞こえる普通の高級セダンです。でもひとたびアクセルを踏み込めば2トンを超える大きく重いセダンとはとても思えないスポーティーな動きが可能です。そして、2トンを超えるからこその静けさや高速でのフラットな乗り心地をも感じとれます。
先に発売されていたデュオセレクトはドライビングフィールまで強い個性があり、工夫しないとスムーズに走らないと言う乗り手を選ぶ車でした。私の様に車に合わせてドライブする車との一体感を楽しむマニアックなユーザーには評判が良かったのです。
しかし、移動の手段としてのみドライブされるユーザーには不評だったと思います。
その様なユーザーの方の為に2007年に発売されたのがこのオートマチックだと思います。運転に関して特別な工夫をしなくても普通にドライブ可能でフェラーリエンジンの心地よいサウンドが楽しめます。のんびりゆったりの走りから超高速のクルージングまで用途的にもプライベートからビジネスまでとより守備範囲が広がった欲張りなラグジュアリースポーツセダン、それがマセラティ・クアトロポルテ・エグゼクティブGT・オートマティックだと思いました。
この車の特徴はなんと言っても世界に180台しかない!
そのうち日本に正規で輸入されたのは8台だけ、しかも右ハンドルはこの1台のみ!
この希少性が判っていただけるでしょうか?
90thアニバーサリーとは、マセラティ社が創立90年を記念して造ったモデルで180台限定で生産されました。
ちなみに90台は北米、残りの90台がそれ以外の国に販売された証しとして、この車は90台のうち81台目のライセンス・プレートがついてます。
新車の価格は1522万5000円でした。
エクステリアは専用のフロントスポイラーやサイドスカートで下回りが引き締まり精悍な感じです。
アニバーサリーモデルだけにグリルやドアノブ等にクロムパーツが使用され、ロールバーの後ろにカーボン地の美しいフェアリング等の高価な部品があちらこちらに使用してあります。
エクステリアのコンディションは、ほとんど新車のまま本当にきれいです。
エンジンはフェラーリの社内工場で作られている4200cc、V型8気筒です。
サウンドはノーマルモードでは音量を絞ってあるのですが、スポーツモードにするとエキゾーストのバルブが開き、品の良い音量、音質でレーシングカーのような美しいサウンドになり、それだけで満足!って感じです。
パワーは390馬力/7000rpmとオープンスポーツとしては必要十分です。
高速道路を走るとボディー下面に入る風がうまくコントロールされており、空力的に安定しているので長距離も苦にはならないと思います。
オープンで走っても巻き込む風はかなり抑えてあります。
エンジンはずばりフェラーリ!スポーツモードで街を流せば誰もが振り向くでしょう!
―この車に乗って感じたこと―
絶好のドライブ日和に、オープンにしてのんびりと走るだけ。
いつもと同じ町並みなのに、いつの間にか海外でバカンスを楽しむ自分を錯覚してしまう。
すがすがしい空気と美しいエキゾーストノートは、クルマ好きには何よりの薬なんだと痛感したテストドライブでした。